国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて 佐藤 優

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国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて
佐藤 優
新潮社 刊
発売日 2005-03-26



読んでおくべき一冊 2006-07-09
私はほんものの外交、政治といったことからは遠い野次馬的一読者にすぎな
いが、



本書で一躍流行語になった感のある「国策捜査」がいわば「考えない
世論」の時代的要請に応える政治権力の発動とするならば、本書は相反して
「考える世論」を構成する主体的判断者にむけた、著者のいわば渾身のメッ
セージ、ということになろう。



通読した心証では、著者は全身全霊を傾けて日ロ外交交渉舞台裏の職
務にあたり、本書の記述にも大きな嘘は無いように思われる(当然、私ごと
きに検証する術はないものの)。が、いずれにせよそれには主観的判断とし
て、という但し書きがついてしまうのである。ことは時として当事者近隣者
の主観からまったく離れたところで人を刺す。著者は佐藤宗男氏を「嫉妬に
鈍感」と評している。じつは有能な著者自身も全く同じ陥穽におちた、とい
うことではなかろうか。



この重すぎる問題についての感想はなんとも言いようがないが、一つ
希望を持たせられるのは、厳しい取り調べ対立の中で成立した、担当検事と
の非常に深いところでの交流である。同時に、ロシア、イスラエル関連で披
瀝される沢山の挿話も、これとは別に注目熟読に値する。



中央官庁関係でなくても、なんらかの意味で組織、政治、外交、情報
に類することを扱わざるを得ない多くのひとたちが、一度は眼を通しておく
べき著作と思う。


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