最終戦争論 石原 莞爾

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最終戦争論最終戦争論
石原 莞爾
中央公論新社 刊
発売日 2001-09


石原莞爾は「満州国」建国の立役者であり、昭和期陸軍の一方の雄であった
が、東条英機と対立し、太平洋戦争開戦時には予備役に追いやられていた。
本書はその直前、昭和15年5月に行われた講演に若干の追補をしたものであ
る。
石原がここで「最終戦争」と言うのは、この次に行われる「決戦戦争」によ
って、世の中から戦争がなくなる、という意味である。なぜなら、戦争発達
が極限に至るため、次に起こる戦争の勝者がトーナメントにたとえれば最終
的な勝者となり、兵器の発達によって人類はもうとても戦争をすることはで
きなくなる、ということだ。これは、核の所有により、局地戦はともかく全
世界を巻き込む大戦を事実上不可能に近くしている現状を見れば、正鵠を射
ている。
しかも、「真の決戦戦争の場合には軍隊などは有利な目標ではなく、最も弱
い人々、最も大事な国家の施設が攻撃目標になる」「徹底的な、一発あたる
と何万人もがペチャンコにやられる大威力のものができねばならない」「破
壊兵器は最も新鋭なもの、例えば今日戦争になった次の朝、夜が明けてみる
と敵国の首都や主要都市は徹底的に破壊されている」などの言葉は、まさに
その数年後に起こった原爆投下を予言しているかのようだ。
石原は、最終戦争後、必然の結果として「そして世界はひとつになる」と語
っている。しかしそれが良くも悪くも実現していない現在、次に起こりうる
最終戦争がいったい何をもたらすのか。不穏な世界情勢に無関心ではいられ
ない。(杉本治人)

昭和初期のビジョナリー 2006-04-11
石原は日本人には少ないビジョンがある男だと思われる。

そのビジョンは西洋古典、古代ローマの戦術から書き起こし、当時の
流行だった統制経済への言及、そして国柱会経由とおもわれる立正安国論が
ない交ぜになった不思議なもの。八百万の神のすべる日本らしいビジョンと
言えば言いすぎか。

だが、語る言葉は非常に力強く歯切れがよい。曖昧模糊とした昭和初
期のエリート日本人達の中にあって石原の個性は群を抜いている、読んでい
るとキャラクターが迫ってくる感じがする。現代でもこの本が受ける理由は
石原の個性によるところが大きいと思う。

「統制」の言葉の意味が少し深まったのも収穫。


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