駿河城御前試合 南條 範夫

今話題の新作・新刊を楽天でチェックする


駿河城御前試合駿河城御前試合
南條 範夫
徳間書店 刊
発売日 2005-10



俗物的葛藤と必殺剣のバランスの妙 2006-07-02
 この本を原作としたマンガ「シグルイ」を読んだ知人から「まず原作を読
むべき」と薦められて読んでみた。

 歴史物は普段手に取らない、まして剣豪物は池波正太郎の「剣客商
売」ぐらいしか読んだことがないが、語り口そのものは現代文である本書で
は、人名が古くさい程度の違和感しかない。

 十一番それぞれの試合について、登場人物たちの背景をたどり最後
の勝負の一瞬に収斂していくストーリーは非常にスリリングで(映画で言う
ところの「グランドホテル形式」である)、このジャンルを見直した次第で
ある。

 違和感を感じにくい別の理由を敢えて言えば、名だたる剣豪たちが
女色や出世の欲に惑う点にあるかと思う。このあたりは修行不足というか、
剣の道一筋に没頭してきた世間を知らない人間の弱さであろうか。そして当
然のごとく、この欲を断ち切った者が試合では勝利を収めるのである。この
俗物的葛藤とも言える描写が次々と登場する(非現実的と思える)必殺剣と
うまくバランスして、リアリティーを与えているように思え、楽しめた。


詳しくはこちらから確認できます